内田 樹「街場の現代思想 (文春文庫)」 ★★★★☆

内田 樹「街場の現代思想 (文春文庫)」

きっかけ=piyoに借りて

悩み相談へのお答え形式のため、街場シリーズの中では柔らかい部類だが、
回答は内田先生らしく真理により近いアプローチで述べられている。

結婚はつまるところ損か得かという質問に対する答えはまさに真を得ている。
「結婚」は快不快でいうと不快以外の何物でもなく(それは主に相手の親族との人間関係による)、
子どもは不快な他者の最たるものであるが、
結婚とは快楽を求めることではなく、
この「他者との共生し続ける」ことの「受難」こそが、結婚(人生の選択)の意味である。

「人間を真に『人間的』なものたらしめているのは快楽ではない。『受難』である」
との喝破に膝を打つ。

さらに橋本麻理氏の解説が切れ味よい。
負け犬が文化資本の担い手であることは本書でも述べられていたが、
四十代負け犬が「快楽を享受」し、「文化資本」を後天的にたっぷり得た女性たちは、
当然の帰結として「人間を真に人間的なものたらしめている」子どもという「不快な他人」を育てることや、
寄付やボランティアという形で社会や他人に還元せざるを得なくなり、
「四十代負け犬出産ブーム」が起こるという、私のことを言っているのですかというような指摘。
私も負けが込んでいるようだ。

もうひとつ。
「自分がやろうとしていることを世の中の人全員がやったらどうなるか」という自問が、
その行為の倫理性の判断基準になるとの指摘。
なるほどそのとおりだ。
「どうして人を殺してはいけないんですか」と聞く者は、自分の喉元にナイフを突き立てられて同じ質問を唱和できるか。

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