2012年 1月 の記事

塩野 七生「ローマ人の物語〈17〉〈18〉〈19〉〈20〉悪名高き皇帝たち (新潮文庫)」 ★★★☆☆

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈18〉悪名高き皇帝たち(2) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈19〉悪名高き皇帝たち(3) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)

きっかけ=久々にローマ人の続きを再開させる。

アウグストゥスも終わってしまい、ここから進められるかどうか我ながら心配だったが、やはり塩野先生の古代の男たちの描き方は魅力にあふれていて、自然に引き込まれてしまう。

文庫本4巻分の「悪名高き皇帝たち」は、初代皇帝アウグストゥスから帝国を引き継いだ4人の皇帝たちの話だが、この4人が生きた時代から今まで、すこぶる評判が悪い。
特に三代皇帝ティベリウス、五代皇帝クラウディウスは、当時のローマ市民からも「孤島の恐怖者」や「恐妻家の愚者」の烙印を押された皇帝たちだが、塩野氏の筆によって彼らの政治的判断、指示、行動がひとつひとつ丁寧に引き出され、ひとつひとつ評価されている(正しく断罪されている所業もある)。

「カエサルが青写真を描き、アウグストゥスが構築し、ティベリウスが磐石にし、クラウデゥスが手直しをほどこした」とは言い得て妙。
誰でも知っている「暴君ネロ」も、塩野氏の筆にかかると、ナイーブすぎる青年が極端な行動に走ることで破滅を招いた、ということになる。

また暴君ネロがローマ帝国史上もっとも有名な皇帝である理由は、ネロがキリスト教徒を「人類全体への憎悪」の罪名のもとに処刑したことで、のちのキリスト教支配下の世界でローマ帝国自体が断罪されたときのプロパガンダとして利用された、という説明に納得。

林 真理子「六条御息所 源氏がたり 二、華の章」 ★★★☆☆

林 真理子「六条御息所 源氏がたり 二、華の章」

きっかけ=第一章の続きを楽しみにしておりました。Amazon購入。

林真理子さんの六条御息所源氏がたりの第2巻。

朧月夜との密会がばれて須磨明石への隠遁、京に復帰してからの出世、その合間にも欠かさない女性たちとのさまざまな恋愛模様。

2巻の中で六条は亡くなるが、1巻と同じく2巻でも六条の目線からの源氏像が斬新。
六条は明石の君を自分の一族の女と認め共感するが、源氏が最後まで明石の君の生まれのいやしさを蔑み軽く扱ったとなじる。
そんなことは今まで源氏物語を読んでいても全く気付かなかったが、娘までもうけた女性なのに六条邸でも一段格下の部屋を与え、「上」ではなく「君」で通したことからもなるほどうかがえる。

一度体を重ねた女は嫌々でも面倒をみる源氏、ハーレムとなった六条邸など、栄華を極めた源氏の余裕と、それでもなびかない女性たち(朝顔の君)などは中盤の面白み。

それにしても源氏の女性に対する倫理観のなさには笑ってしまう。
帝の寵愛を一身に受ける朧月夜とも関係を切らず、六条御息所の娘斎宮をいくら口説いても自分のものにならないため、院から望まれると息子の冷泉帝に差出し出世の駒として中宮(秋好中宮)とし、さらに夕顔の忘れ形見の玉蔓を囲い性懲りもなく口説く。

この物語は全3巻とのことで、あと1巻で終わりかと思うとちょっと残念。

養老 孟司 , 小島 慶子「絵になる子育てなんかない」 ★☆☆☆☆

養老 孟司 , 小島 慶子「絵になる子育てなんかない」

きっかけ=小島慶子さんのtwitterで知り購入。

VERY連載エッセイで共感することが多い小島さんと、敬愛する養老先生が子育てについて語るというのでかなり期待して読んだが、ちょっとがっかり。
やはり小島さんは小島さん、養老先生は養老先生が書かれているものを読むほうがずっと面白い。

小島さんは現在進行形での子育て中であり、マスコミ側の一員でもあることから、イマドキの幅広いテーマから子育てについて自分自身の考えや周りからの反応、実際の子育てを通じての熱い思いなどがあり、
逆に養老先生はとっくに達観していてものすごく高い視点から「それはそんなものですよ」的なコメントしかしないので、見えている次元が違いすぎる。

また、小島さんの周りのママ方があまりにも都会的で、お受験をさせない親は責任放棄と言われる、などという一節には、そんなの都内の山の手に住むほんの一握りでしょと思ってしまう。

唯一読んでうれしかったのは、お二人ともバイリンガル教育には反対ということ。