カテゴリー : 02.宗教

五木 寛之「親鸞(上)(下) (講談社文庫)」 ★★☆☆☆

五木 寛之「親鸞(上) (講談社文庫)」

五木 寛之「親鸞(下) (講談社文庫)」

きっかけ=最近「親鸞-激動編」の新聞広告を目にして、既刊の文庫版の方を近所の書店で購入。

五木氏の著作は以前「他力」を読んだがあまり印象に残っておらず、なんとなく合わなかった気がしたのだが、今回も同じような印象が残った。
バリバリの大乗仏教の、しかも親鸞聖人の物語であり、かなり個人的興味のあるジャンルなのだが、いまひとつ乗り切れないのは五木氏の筆が写実性よりエンタテインメント性を重視しているからだと思う。

この章では親鸞の生い立ちから叡山修行時代を経て下山のあと法然に師事し、市井の人々に念仏即往生を説きはじめるが徐々に浄土宗への弾圧が強まり、法然が土佐、親鸞が佐渡に流刑となるまでが描かれている。

そもそも聖人物語なるものは真実と伝説の区別が難しいが、さらに五木氏による大胆な創作も追加されているので、どこまでが事実なのかさっぱりわからない。
残虐極まる黒面法師が親鸞の妻、紫野の両目を針で潰そうとした瞬間、どこかに潜んでいたツブテの弥七が放った小石が針をはじきとばす、などの演出は、これで盛り上がる人もいるのかもしれないが、私などは興ざめてしまう。

法然に帰依することになったきっかけ(後に妻となる紫野が救世観音に化身し吉水に導く)も、半分は五木氏の創作だが、そこが創作であればなおのこと、矛盾を乗り越え身も心も帰依するに至った過程はもっともっと矛盾に引き裂かれる姿を丁寧に描いてほしかったし、叡山では自らの煩悩を乗り越えるため、異常な激しさで身を削り行を修め、欲望も振り切ってきたにも関わらず、妻帯するときのその安易さは何?とやや肩すかしだったり。

有吉佐和子さんが描くような、写実的な親鸞を読みたいんだけどなあ・・・と、ないものねだり。

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内田 樹 「私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)」 ★★★★☆

内田 樹 「私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)」

きっかけ=piyoブログを読んで興味を持った本作をAmazonで購入。初の内田本。

ユダヤ人を「遅れて到来したもの」と位置づけ、
「彼らのために取っておかれた特別の憎しみ」を受ける責を存在そのものが負っていることの自覚を持つ者、これをユダヤ人と結論付けている。

フランクル博士のことばを思い返さずにはいられない。

ダライ・ラマ著、山際素男[訳]「ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)」 ★★★☆☆

ダライ・ラマ著、山際素男[訳]「ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)」

きっかけ=2008年3月チベットでの反中国デモニュースを見て、ようわからんため、自伝を読んでみようと購入。

読むのに時間がかかったが、ダライ・ラマの存在およびチベットの立場について理解。

こういう本はそれほど面白みがなくても読んでおくと世の中に対する理解度UPのバックボーンになるのでこれからもできるだけ読もう。

佐々木閑「日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)」 ★★★☆☆

佐々木閑「日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)」

きっかけ=本屋さんでなんとなく購入

朝日新聞コラム100話をまとめたもの。
原始仏教、いわゆる「小乗仏教」における釈迦の教えを丹念に紹介。

「律」の面白さ、原始仏教と科学との相似という思想が独特。
科学者を目指して仏教学者になったという著者ならではだが、やや科学との相似を強調しすぎる嫌いあり。

「律」に重きを置くのはユダヤ教やイスラム教と同じ、生活習慣そのものが教えの実践ということ。
原始仏教にもそういうものがあったのだ。
しかしユダヤ、イスラムと違うのは、律を守ることが神への信仰心の表れではなく、自分自身の魂を磨くための修行であることだと思う。

田口 ランディ「生きててもいいかしら?―生と死をめぐる対話」 ★☆☆☆☆

田口 ランディ「生きててもいいかしら?―生と死をめぐる対話」

きっかけ=図書館でなんとなく借りる。

偉い禅僧との対話。禅僧が偉そうで乗り切れず。

芳澤 勝弘「白隠禅師の不思議な世界 (ウェッジ選書)」 ★☆☆☆☆

芳澤 勝弘「白隠禅師の不思議な世界 (ウェッジ選書)」

きっかけ=出張時、新横浜駅でまだ本屋が開いておらず、売店でなんとなく買ってしまう。

1470円と高くて後悔、内容もつまらないので余計に後悔。

ただ一カ所、江戸時代の子どもに対する価値観は勉強になった。
貧乏な一家が口減らしのために、子どもを殺すか親を殺すかという究極の選択で、「子どもはまた恵まれる、親は二人といない」と言い、病気の夫の親ではなく子どもを埋めようとすると、不憫に思った神様が助けてくださる、ということが、「親孝行」の美談として子どもたちに語り継がれたということ。

現代ではとうてい考えれらない価値観だが、ほんの150年前はこれが美談だったのだ。
今の我々にとって当然の価値観も、100年後には「考えられない」 ものになる。世界平和とか、市場淘汰とか、あり得ないよね、という時代が来る。

青木 新門「納棺夫日記 (文春文庫)」 ★★★☆☆

青木 新門「納棺夫日記 (文春文庫)」

きっかけ=なんとなく購入

映画「おくりびと」の原作らしい。映画は見ていないが、たぶん原作の一部を素材にしたまったく違うストーリーだと思う。
本作は物語ではなく著者の心象風景。死人に化粧を施し着替えさせる、それらの行為を通じて、生死についての哲学的な問い、親鸞聖人の教えの本質についての著者の理解について語る。

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